お寺とかにいくと、よくハート型のものを見つけるけど、なんでハートなんだろう?
恋愛成就とかの意味じゃないわよね...?
そのハート型の模様・家紋は、「猪目」といいます!
そうですね。恋愛成就のために作られたわけではありません。
本記事で歴史的な背景から解説していきますので、参考にどうぞ!
この記事でわかること
- 猪目がハートの形をしている理由・意味
- ハート型をしている歴史的背景
- 神社仏閣のいろんなところにある猪目
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もくじ
【猪目とは?】由来や意味を解説!~なぜハート型なの?~
猪目の由来
“猪目(いのめ)”と呼ばれるようになった事については諸説ありますので、まずはそこから紹介します。
ある見解では、イノシシの目がハートに見えるからハートの形になっているという話があるようです。
他には、“亥「い」”の字が変形したモノという説もあるようです。
様々な説がありますが、イノシシの目で覗いているような穴を装飾の一部として使う事を猪目と言われています。
発祥は、中国が起源とされており、伝来した方法の一説として、飛鳥・奈良時代に仏教と共に日本へ伝わったとされています。
その為、お釈迦様に関係する場所には猪目が多く施されているようです。
猪目の意味
猪目にはどんな意味合いがあり使われているのかを紹介します。
神社やお寺にある猪目などを用いた懸魚
神聖な場所ほど、豪華で猪目などを使った装飾が施されています。
この、猪目を用いた様々な場所にある飾りを、一般的には“懸魚(げぎょ)”といいます。
“懸魚”の読み方など
“懸魚”の読み方ですが、正しくは“げぎょ”と読みます。
読み方は、“けぎょ”や“けんぎょ”とも呼ばれています。
書き方も“掛魚”とも表記される時があります。
基本的には、神社や仏閣で使われる装飾の総称です。
懸魚を作る職人達
越前の職人達が、指物師になり細かい装飾を作り出したとされています。
他には、刀の鍔にも用いられるため、刀鍛冶をしていた鍛冶職人達が猪目細工を覚えて刀の鍔やつか先端などの部分に猪目を施していました。
一応、猪目細工を施される場所は建築物が多く見られます。
火除けのお守りは猪目だけじゃない
猪目と呼ばれるハート型の穴を施した懸魚は、魔除け・火除けのお守りとして様々な場所に用いられています。
ですが、いわゆる懸魚へ施される猪目の他にも同じ意味合いを持つモノがあるのです。
猪目は建築物の火除けの守り
建築装飾や構造的なモノですが、猪目の他に“梅鉢”や“蕪(かぶら)”、“六葉(ろくよう)”と形も呼び方も様々です。
突起物の形をした“六葉”は特に分かり易いのですが、別名“樽の口”と呼ばれ、水が出てくる場所に栓をしたような形をしている為、同じように火除け・防火の意味があるとされています。
猪目装飾の懸魚の種類
作る職人によって個性があり、一先ず4,000種類程度は確認されていますが、それ以上に多彩な種類があると予想されます。
大きな建築物から小さな器物まで様々な場所に用いられる猪目装飾の懸魚は、大人気の飾りなのです。
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猪目を施した懸魚を作る理由は?
建築装飾の一部として猪目を用いた“懸魚”を、様々な場所に施していますが、これにもしっかりとした理由があるのです。
建物を守る・魔除けのための魚として作られた
霊験あらたかな建物物はとても大事にされており、場所も含め様々な意味合いを持っているのです。
そんな重要な建物ほど火事なので燃えてはならない、縁起が悪いと言うことで、水の生物である魚をイメージさせる装飾を施し、火事にならないよう願掛けをしていたのです。
さらに、水をイメージさせる懸魚に、水を守護するイノシシの目をモチーフに細部へ目を配る事で火除けとしていました。
火事除けのお守りのようなモノです。
懸魚が意味する理由
一般的に建物に施されている懸魚は、火除けのお守りですが、もう一つの意味も持っています。
それは、厄除けです。
様々な装飾に、イノシシなどの獣の目を使う由来として、獣の目力は魔除け・厄除けを意味するとされていました。
その為、水を守護する獣という事でイノシシの目“猪目”が使われるようになりました。
お守りだけじゃない懸魚の役割
お城はもちろん、神社や仏閣の四方を囲むように魔除けの意味を込めて猪目を組み込んだ懸魚が使われていますが、それこそ建物本体だけでなく、門や扉まで各所に施されています。
しかし、建築構造的にも重要な役割を持つ懸魚の役割があるのです。
建築物を物理的に守る
懸魚は、建てられた建築物の中で、飾りとしての意味合いだけでなく構造上必要とされ、重要な役割を担っています。
猪目を破風(はふ)板と呼ばれる飾りを屋根の重なる最高地点の下に施す方法があります。
これは、屋根の間に咬ませるようにはめ込む事で、左右の力が重なる合流地点を風などの傷害から守る効果があります。
さらに、屋根端に取り付けられている部分は、痛みやすい端っこを隠して傷みから守る役目も持っているのです。
破風板(はふいた)とは
破風板とは、一般家屋にも使われる建築施工の方法で、屋根の内側へ入り込む風や雨を防ぐため、屋根の同士が交差して見える側からみた時の、屋根へ添うように付けられている防護壁の一種です。
屋根は、下からの力に弱く、外れてしまう可能性があります。
そこで、屋根を下からの圧力から守るため考えられました。
そんな破風板と役目を懸魚を用いて屋根同士の強度を強くしながらも、水の守り神をまとった猪目を施すことで、大事な建造物を守るおまじないとして施工されているのです。
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猪目はハートに見える!【歴史的背景を解説】
意外な場所にかわいいハートがたくさん?
初詣など、普段は何気なくお参りしているお寺や神社ですが、様々な所に施されているキレイな装飾が気になりませんか?
その飾られている装飾をよーく見ると、実はハートの形をした穴が色々な場所にたくさん空いているのですがお気づきでしょうか。
このハートの形をした穴ですが、しっかりとした理由があり、しかもとっても御利益のあるハートなのです。
ハートの穴の正式な呼び方
あのハートの形をした穴は、“猪目(いのめ)”と呼ばれるありがたい装飾技法の一つです。
“猪目”とは、読んで字の如く“イノシシの目”の事を意味するのですが、イノシシの目ってハートの形をしているようには見えませんね。
お釈迦様といえばハートで囲まれている
諸説ありますが、お釈迦様は菩提樹の下で悟りを開いたとされています。
そして、菩提樹の葉の形に似た形ということで、悟りの象徴の形となっているのです。
ちなみに菩提樹とは、原産地がインドで、無憂樹と沙羅双樹と合わせて三大聖木の一つです。
お釈迦様の周りは、ハートがたくさんということです。
日本は昔からハート型の文様があった
猪目をかたどった装飾について、興味深い情報があるので紹介します。
ハートの形をした猪目ですが、元々日本には猪目という名ではなかったと思われますが、独自にハートの形をした魔除けを作っていたのではないかという考え方もあるようです。
このハートの形をした文様ですが、古くは古墳時代の倒卵形鍔(とうらんがたつば)でも発見されました。
倒卵形鍔(とうらんがたつば)とは
倒卵形の鍔の事ですが、倒卵形というのは卵を逆さにした形の事で、上側が広く下がると段々つぼんでいく形の事を表します。
この形をした鍔は、古墳が作られていた上古時代に作られた様々な日本独自の刀の鍔へ取り付けられていたのです。
そして、この倒卵形鍔は同時期の中国など他の国には存在しない形状をしているため、日本独自の装飾技術と言われています。
そんな日本独特の鍔を用いた刀の装飾としても、紀元6世紀から7世紀頃の古墳から出土されました。
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6世紀頃の日本とは?
日本史としては、国内を天皇家が治めており、古墳を作っていた時代の後期に当たる時代です。
諸説ありますが、7世紀を目前とした頃が聖徳太子がいたのではないかとされている時代です。
そして、中国と戦ったり仲良く貿易を始めたりと日本という国が大きく変わろうとしていた時代です。
猪目が忘れられてしまう時代
時は流れ、明治時代になると、外国文化が多く入ってきます。
その時、外来語の“ハート”という呼び方が世間一般へと定着していったために、“猪目”という呼び方が忘れ去られてしまったのです。
猪目が伝わってきた時もそうですが、猪目が忘れられてしまう時も、何か外から伝わってくることで何かが変わってしまうのですね。
古い良き伝統を、忘れないよう受け継いでいきたいですね。
猪目が細工されているモノは他にもたくさん!
鐺
神社などの地面
窓がハート型
猪に関する人に教えたくなる豆知識
イノシシは水に関係がある
さらに他の見解で、オカルト風でマニアックな説も面白いので紹介します。
諸説ある中の一つではありますが、干支十二支を五行と呼ばれる形式で分類分けをすると、12番目のイノシシ(亥)は水の分類になります。
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イノシシは水を連想させる
自然の理を、5種類に分類分けするという考え方があります。
五行と呼ばれる5種類の自然の基礎となるモノを、仏教と陰陽術のそれぞれで分類分けされています。
仏教の五行は“地・水・火・風・空” に対し、陰陽術を基盤とした考え方の五行は、“木・火・土・金・水”の順となります。
そこへ、十二支の子(ネズミ)から始めて最後の亥(イノシシ)を重ね、陰陽術と十二支を掛け合わせた場合、イノシシは位置的に水を示します。
更に、五行は四季の季節にも関係してきます。
春=木・夏=火・秋=金・冬=水、そして土は別モノ扱いとして、四季それぞれの約18日区切りの最後へあてがわれ土用と言われます。
尚、十二支の丑は五行で土となっており、世間よく耳にするで有名な土用の丑の日はここからきています。
話は戻りますが、旧暦の区切りの中で、冬の十月は亥で五行では水を示します。
時々カレンダーにかかれた“みずのと”や“ひのえ”と書かれているモノがありますが、その暦の読み方が旧暦となって、今回の陰陽術の五行が関係しています。
昔の火事への消防対策
火事がどこかで起こった場合。、昔の火消し人は水が貴重で現場まで大量の水を運ぶ技術が無かった為、チームで燃えている建物を潰して壊し、燃え移りそうな近隣もまとめてたたき壊すという消し方をしていた。
その為、火事は色々な意味で民衆から恐れられていた。
武士が考える縁起の良い悪い
刀の鍔に猪目が用いられている理由の一つとして、武士も、打ちかかる火の粉を払って(祓って)生き抜くという意味もあったようです。
ちなみに、昔は太刀魚を特に武士は絶対に食べなかったそうです。
理由として、たとえ美味しい魚であったとしても刀をイメージするモノを体に入れると言うことは、切腹をイメージする事に繋がるから縁起が悪いと考えられていたからです。
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【まとめ】猪目がハート型なのは意味があった!!
神社仏閣によくあるハート型な猪目について解説しました。
本来は魔除けの意味を込めて作られた猪目ですが今ではハート型をしていることから恋愛成就に縁のある神社仏閣と勘違いされることもしばしば。
神聖ば場所ほど、この猪目は見られます。
皆さんも探してみてはいかがでしょうか?